薬学部進級補習授業報告⑦|薬物治療講義

清光進級学院では、大学教育・研究経験を持つ講師陣による個別講義を通して、薬学部生の留年を防ぐだけでなく、薬学の本質を理解し、自信を持って学びを深められるような授業を実施しています。
今回は、授業報告より、授業の一部をご紹介します。テーマは「漢方薬」「神経・精神疾患」「腸疾患・頭頸部腫瘍」。
いずれも薬剤師国家試験で毎年出題される薬物治療の中核領域であり、進級・国試双方の基礎を築く重要な内容です。

漢方薬の基礎と応用 ― 心身一如と随証治療の理念についての指導

本講義では、漢方医学の基本理念(心身一如・随証治療)および診断法(四診・八綱弁証・気血水)について解説を行いました。
代表的な処方である抑肝散・六君子湯・五苓散などを題材に、構成生薬の作用・副作用・適応の整理を実施。
特に、甘草による偽アルドステロン症や麻黄による交感神経刺激作用などの副作用については、臨床上の注意点を症例を交えて詳細に指導しました。

講師コメント
漢方では、“証”の考え方と症状の関係性を理解することが重要です。
生薬の作用と副作用を関連づけて整理し、表にまとめて確認することで知識が定着します。臨床の現場で安全に用いるための思考力を育ててほしいと考えています。

💡薬学生がつまずきやすいポイント

  • 「心身一如」「随証治療」「気血水」などの基本概念を体系的に理解できず、丸暗記に偏りがち。
  • 生薬ごとの作用・副作用(甘草・麻黄・附子など)を関連づけて整理できない。
  • 「証」と「症状」の対応づけが曖昧になりやすく、臨床応用につながらない。

➡️ 清光進級学院では、診断法(四診・八綱弁証)の整理表や症例演習を活用し、概念と臨床を結びつける指導を行っています。

神経・精神疾患 ― 薬物治療の考え方と作用機序の整理

神経・精神疾患の講義では、うつ病・統合失調症・認知症・てんかん・片頭痛を取り上げ、各疾患の病態生理と治療方針の全体像を解説しました。抗うつ薬(SSRI・SNRI)、抗精神病薬(定型・非定型)、認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬・NMDA受容体拮抗薬)、片頭痛治療薬(トリプタン製剤など)を比較し、作用機序・副作用・臨床での位置づけについて詳細に指導を行いました。

講師コメント
神経・精神疾患は薬剤数が多く、分類を覚えるだけでは対応できません。
各疾患の病態と治療アルゴリズムを理解し、“なぜその薬を選択するのか”を考える姿勢を身につけることが大切です。
国家試験問題にも積極的に取り組み、選択肢の正誤理由を自ら説明できる力を育ててほしいと思います。

💡薬学生がつまずきやすいポイント

  • 薬剤分類(SSRI・SNRI・NaSSAなど)や作用機序の違いを混同しやすい。
  • 副作用(錐体外路症状・高プロラクチン血症など)の機序を理解せず暗記に頼りがち。
  • 各疾患の治療アルゴリズムを関連づけて整理できず、臨床判断につながらない。

➡️ 清光進級学院では、治療アルゴリズム表や症例ベース演習を通して、「分類の暗記」から「理解による整理」へと導く指導を行っています。

腸疾患と頭頸部腫瘍 ― 症例を通じた薬物療法の理解促進

腸疾患では、潰瘍性大腸炎・クローン病を中心に、5-ASA製剤・ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤の使い分けについて解説しました。
また、頭頸部および感覚器の悪性腫瘍に関しては、喫煙・飲酒・HPVなどのリスク因子や、外科・放射線・化学療法・免疫療法の特徴を取り上げ、治療戦略の考え方を指導しました。

講師コメント
疾患の全体像を把握し、病態・診断・治療の流れを自分の言葉で説明できるようになることが重要です。
薬剤は“なぜその薬が用いられるのか”を考えながら整理することで理解が深まります。
副作用や使用上の注意点にも目を向け、薬物治療を多角的に捉える力を身につけてほしいと考えています。

💡薬学生がつまずきやすいポイント

  • 生物学的製剤の名称・標的・適応疾患を体系的に整理できない。
  • 炎症性腸疾患(IBD)での治療ステップを理解しづらい。
  • がん薬物療法における副作用や支持療法の関係性が把握しにくい。

➡️ 清光進級学院では、症例を用いた投与設計演習や副作用マッピングを通じて、薬剤選択の根拠を理解できるよう指導しています。

受講生からの声

本講義を受講した学生からは、次のような感想が寄せられています。

「これまでは薬物治療の範囲があまりにも広く、どこから理解を始めればよいのか分からずにいました。
清光の授業を受けてからは、内容をどのような順序で整理し、どこを入口に学べばよいのかが明確になりました。
苦手だった薬物治療や漢方も、仕組みや背景を理解しながら勉強を進められるようになり、学習が一気に前向きになりました。」

このように、学習の方向性をつかむことで理解が深まり、「暗記」中心から「理解して学ぶ姿勢」へと変化した学生が多く見られます。

指導方針と今後の取り組み

清光の授業は、薬物治療を単なる知識ではなく、根本から理解し、確実に定着させる学びとして指導しています。
清光進級学院では、こうした臨床的な思考力の養成を重視しつつ、まずは
大学の定期試験や進級試験で確実に成果を出せる力
を育てています。
各学生が自らの言葉で病態・薬理・治療を説明できるようになるまで丁寧に指導し、
その理解を積み重ねることで、国家試験合格を確実なものとし、将来の臨床応用にもつながる薬学的基盤を築いていきます。

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