清光では、設立当初から進級対策を意識して、授業を実施してきました。
「進級対策を取り込んだ編入対策」をスローガンに、他系統学部から医療系学部に編入合格後のサポートにも注力して参りました。医学部や歯学部、薬学部、獣医学部での卒業、国試合格までの道のりは長いです。清光の医療系学部入学前対策を担当されている先生のお一人から入学前対策の重要性及び対策内容についてお聞きしました。
(1)入学前対策で大切なこと
編入試験を突破され、「やれやれ、少し勉強から遠ざかりたい」と大方の気分であろうと推察されます。まずは十分な休養をとるのが良いでしょう。一方で、編入までの期間は極めて大切な期間でもあります。ご自身の経歴で理系の知識を十分持った方、学ぶことの意義を知り意欲を持った方、文科系出身の方や高校の理数系の課程を十分こなされていない方、などいろいろのようです。編入の場合は、新学期からの大学の授業では、高校での履修分野は全て理解している、さらに大学一年次(場合によっては二年次も)の履修内容も済んでいる、と見なされます。
授業では基本的な学術用語は説明も無しに使われ、多くの科目で膨大な知識が提示されます。「大学は自分で勉強するところ」とされている通りです。従って、入学前の期間に来るべき大学の授業に耐えるだけの力を付けておく必要があります。この力はその後の意欲を持続させ、進級していくために大切です。大学によっては入学前に課題を出しているところもありますが、それは編入後の授業に付いてこられるかどうかを心配してのことです。
(2)清光ではどういった対策を実施しているか
まず、これまでの教育、自習履歴の内容を質問や出題を通して、各受講生に確認します。(初回学力見極め授業)
授業後に評価を実施し、現在の学力と清光での授業時間を勘案しておよその授業計画を立てます。受講生が希望するご自身の疑問点に特化して授業を行うか、分野の内容を網羅的に伝えるか―重要度と理解度に応じて授業実施の順番を決める―なども計画に含まれます。必要に応じて高校の学習内容に踏み込んで授業を行うことも多々あります。
以下の4項目は、私の授業では、初回の授業で受講の皆様にお願いしています。
1. 授業内容をもとに授業ノートを作る。
生物や化学では実体があるのでモデルや図が大切です。復習の際には改めてご自分の復習ノートを作成してもらっています。後から加筆できるように余白は大きく取って下さい。ノート作りをすることで、疑問点や不明な点を見つけることが出来ます。このノートは、編入学後にも必ず自分を助けてくれます。
2. 書物を読む
教科書、参考書、インターネット、など書かれているものを読むようにしてください。授業で「話を聞く」のと、書かれた物を「読み解く」のは車の両輪ですが、それぞれ一長一短があります。話の中では分かるまであの手この手で説明を行うことができ、別の項目とのつながりなどをお示しすることも出来ます。しかし、範囲や時間が限られます。他方、読むことは難解な場合もありますが、授業では出なかったことがたくさん書いてあり、学ぶ範囲が広がります。理解しにくい所は繰り返し読めます。読む練習をすることで、書く練習にもつながります。
3. 問題をやってみる
試験対策というより、知識の確認のためです。難問は避け、なるべく平易な問題・良問に当たる方が良いです。さらに、記述式の問題をやることで「文章化能力の涵養」を実践することができます。また選択問題では「何となく正解」ではなく、間違っている選択肢はどこが誤りなのか、どうすれば正しい解答になるのか、などをやってみます。問題文そのものを「文章化の実例」として利用することもあります。
4. 学術用語が簡潔に説明できるようにする
全ての分野に応用が利くようにキーワードとなる学術用語を正確に理解することが必要です。教科書や参考書の中にゴシックで示された用語を参考にしましょう。学生泣かせの紛らわしい用語も多数あるので注意が必要です。
(3)対策を実施する上で大切にしていること
対策では上記(2)で述べたような形をとり、大まかな授業内容は決めます。さらに、受講生の学習履歴、力、予定される授業時間、などによって範囲、内容の吟味、取捨選択、質問事項などを決めるようにしています。受講生皆さん異なりますので、私自身、授業の準備では毎回「練り直し」を行ってから授業に臨みます。質問していただくことを大いに奨励しています。対面かつ一対一ですので、理解度を探りつつ、何が理解を妨げているかに対して対策を立てるようにしています。それが効を奏すると、より速く、広く、を目指すことができます。いずれは、定期試験や国家試験が待っていますが、あくまで一里塚です。医療関連は生涯学習的な側面がありますので、自力で学びが進められること、そのための土台作りが目標です。
(4)入学前対策を検討している方へのアドバイス
学びの初めでは具体的な内容に即し、「話を通して教えてもらう」という時間を持つことがぜひとも必要です。前述のとおり、話の中では書物には書いていないこと、書きようのないことも語られます。大学の授業が大切なのもそのためです。取分け、医療関連分野とは如何なるものか、如何に理解すべきものか、どのように勉強を進めるべきか、を教わる機会を持つことがその後のキャリアを進めるうえで極めて重要です。科学は積み重ねとしての縦糸と現象間のつながりを付ける横糸で構成されます。内容が良くわからないままピンポイントで記憶に頼るといずれ破綻します。入学前の自由な時間のある時に、十分に内容を理解しながら勉強を進めてもらい、自信を持って編入後の学生生活を過ごしていただきたいと思います。
医療系学部編入及び進級対策担当:我彦先生